2010年5月 6日 (木)
北林谷栄さんを悼む
名優だった。98歳だった。映画「阿弥陀堂だより」(02年)を見たのが最後だった。座布団を放り投げるシーンがあって笑った記憶がある。アドリブだな、と。同志だった宇野重吉さんの息子の寺尾聡との共演だった。いい気分で芝居をされていたように見えた。
もっともっと演技を見たかった。
ご自宅の倉には芝居で使う小道具がぎっしり詰まっていたそうだ。その虫干しを見た人が、収集のものすごさに腰が抜けた、と言ったのを聞いたことがある。
芝居の公演で地方に行かれたとき、ちびた下駄を履いた老婆を見つけました。その老婆の後を付けて自宅まで行き、その下駄を譲ってもらった、というような話は数々聞きました。
「家にある小道具は全部あなたに上げる」と言われたのは、樹木希林さん。
「あの方の演技には及びも着かない」とお断りしたそうです。
北林さんは、「出身劇団(民芸と文学座)は違っても、私の後を継ぐのは樹木希林しかいない」と思われていたのだと思います。ボクもそう思います。
ご冥福をお祈りします。
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コメント
北林さんと益田喜頓さんを観たい一心で、ドラマ『高原へいらっしゃい』を楽しみにしていた時代もありました。
エレガンス漂う江戸っ子でした。
合掌
投稿: 猫の母 | 2010年5月 7日 (金) 05時29分