2023年1月 4日 (水)
元NHKディレクターの死
龍村仁くんが亡くなった。82歳。老衰だそうだ。
NHKに就職してまもなく、30歳前半だったと思う、矢沢永吉のロックバンド「キャロル」のドキュメンタリーを制作した。
当時ロックは不良の音楽としてNHKは放送に消極的で、彼の番組を放送しなかった。猛然と抗議を始めた龍村は、出社拒否をしたり、外部で同じテーマで映画製作をしたりした。ついに NHKは彼を解雇した。彼は裁判闘争を始めた。
ボクも、同じ制作者として、激しくNHKに抗議の意志を持っていた。ボクは、自分の番組へ裁判中の龍村くんを出演させてNHKへの抗議番組を作った。
龍村くんが、スタジオへ向かう廊下を歩きながら言った言葉を今でも覚えている。
「ボクが出演していいんですか?」ボクの立場を心配しての発言です。
ボクも、テレビ朝日を首になるかも知れない、と思いながら彼を迎えた。
あの緊張感は今でもよく覚えている。
NHK批判をやることに、民放として抵抗感はなかったようで、ボクは、だれにも咎められることはなかった。
その後、龍村くんは、裁判をやりながら映画監督として「地球交響曲」という作品を9作品残した。
表現の自由のために戦った同志を失った淋しさが蘇ってきた夜です。
冥福を祈ります。
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